ワヤン大会2005ジョクジャ報告 

 見事にダランを演じた
 マツモト、40年間ワヤンを学ぶ

(クダウラタン・ラヤト=ジョクジャ特別州最大の日刊紙、05/09/17)



 かつて「まぼろしの城をめざす」というワヤンの物語を聞いたことがありますか。もちろんパンダワとコラワの基本演目ではない。これは日本男性キ・リョウ・マツモトにより上演された日本風ワヤンの物語であり、9月15日の夜、彼はいまヨグヤカルタのホテル・ガルダで開催されている国際ワヤン大会2005の舞台に、登場したのである。
 その舞台で、80分を演じたキ・マツモトはあきらかに観客を魅了した。有能のキ・マツモトはダランを演ずるため、40年間をかけてインドネシアからそれを獲得したのだ。彼はインドネシア(ジャワ)のワヤンとそれに関わるすべてのことを学んだ。日本で、キ・リョウ・マツモトはこのワヤン芸術を開花させ、さらにはワヤン仲間の受け皿をつくり、「日本ワヤン協会」の名が与えられた。
 本紙記者が16日、ホテル・ガルダでキ・マツモトに会うや、彼はいった、ワヤン芸術の美、ワヤン芸術の精神性は世界のあらゆる文化の最上位に位置するものだろう、と。「ワヤン芸術はすばらしい文化であり、今やインドネシア人だけの所有物でなく、発展し、やがて世界中の人々の所有物となるでしょう」と。キ・リョウ・マツモトは、どのようにしてワヤン芸術に魅了され、それはいつの日か、日本のワヤン芸術の様式の一つとなるのだろうか?
 彼は1968年、はじめてインドネシアへきてワヤンの上演にこころ惹かれたのだ。キ・マツモトはプランバナン寺院の近くでワヤン・クリの上演を見た。そのとき彼はワヤン・クリの舞台は一晩中つづくものとは知らず、しかもその物語の内容を理解したいと切に思ったのだ。東京でインドネシア語の勉強をはじめる。「ワヤンの登場人物たちの性格、やがてはマハーバーラタやラーマーヤナの物語が大いに私の心を魅了した」という。
 キ・マツモトはすでにワヤン芸術や日本文化にかんする15冊以上の本を書いている。はじめ彼はしばしばソロやジョクジャで、現地の友人たちの案内でワヤンを見、一語々々を理解しようとダランの語りを録音した。そしてジャワ語を学び、キ・ナルトサブドやキ・ティムブル・ハディプライトノ、その他のダランの言葉を理解するまでになった。「私は大変驚いたのです。ワヤンの哲学が人間存在の根本に触れ、またきわめて高い文学性をもっていたからです」と彼は付け加えた。
 それゆえ彼は他の日本人がこのワヤンの芸術性を理解できることを切望した。その方法としてワヤンの物語を日本語に翻訳したのだ。何回かのインドネシア訪問から、キ・マツモトはまたスンダのワヤン・ゴレ、ワヤン・チルボン、ワヤン・バリ、ウォノサリのワヤン・ベベル、東部ジャワのワヤン・トペン、ワヤン・ウクル、ワヤン・サンドサその他のような、さまざまな種類のワヤンを見物し、研究した。
 さらにはキ・マツモトは、キ・ナルトサブトやキ・ティムブル、キ・アノム・スロト、キ・スティノ、キ・パヌト・ダルモコ、キ・マンタプ・スダルソノ、キ・ウントゥス・ススモノその他のような、インドネシアの高名なダランたちと十分に近づきとなった。またワヤンに関する参考文献200冊以上の本が、東京に住むこのダランによって読まれたのである。

ワヤン大会の第二報、ジョクジャからです。
ワヤン大会の第三報、ジョクジャからです。
ワヤン大会2005ジョクジャ報告
「まぼろしの城をめざす」を見て(チュ・S)
ワヤンは日本人に興味を持たれている
一度口から出たことばは…(大和田尚)
ワヤン大会奮見記(熊谷 正)
ワヤン・チャンクマン(中辻 正)
新しくなりつづけるワヤンなるもの(松本和枝)
ワヤン大会へ向けて(松本亮)






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