マンクヌゴロ王宮プランウダナンの間での影絵詩劇上演
「まぼろしの城をめざす」=7月25日(水)

そしてソロ、ジョクジャ周辺の風情について……

小報告

                                  松本亮



◎今回はほとんどまごまごすることなく上演準備がすすんだ。さすがジョクジャ、ソロでの三年連続の上演で、しかもソロだけの舞台だった。マンクヌゴロ王宮担当のガマル夫人の指図も手慣れたもので、分かった分かったとうなずいて、まずはすべて整った。
 いまや高名なプシンデンとしてソロに在住する狩野裕美さんには、ダンサー探しを依頼していたが、できれば彼女の仲間のガムラン奏者たちに即興の音を入れてもらえればとも期待していた。それが思いがけず積極的に参加してもらえ、裕美さんも歌ってくれることになった。この奏者三人の中の一人はキ・ウントゥスの甥ということだった。この協力はたいへん有難かった。この協同作業(コラボレーション)は偶然の出来事のようでもあったが、このことは今後につながることは間違いないと思えるし、むしろ積極的に押し進めて、より面白い世界をつくる可能性を秘めているというべきだろう。
 東京からのスタッフは、音響の大和田尚、助手の中村深樹、松本信子、バロンガンの塩野茂、加藤潤子、カメラの高橋佐貴子各氏である。ジョクジャのムスタムさんも大活躍だった。ガムラン勉強にきているソロ在住の芹沢薫さんや折田未来さんには裏方を手伝ってもらった。

◎今回の上演は私のマンクヌゴロ王家またソロのワヤン仲間への感謝のための気持が込められたものだった。気負いも何もなくこの一夜に、わたしたちの優しさが芳香となって撒布されることを願ったのだ。この四十年ほどの年月に、私たちはどんなにかジャワの魂、その豊穣さを学ぶことができたか、ソロのすべてはその原点をなすものであった。

◎有難いことに、昨年にくらべ観客がずいぶん多かったようだ。ダランや芸大の先生たちで、私の知ってる人たちの一部をしるせば、以下のようだ。キ・マンタプ・スダルソノ夫妻、バンバン・スワルノ、プルボ・アスモロ夫妻、キ・トリストゥティ、ジョコ・リアント、キ・ウントゥス・ススモノ、ニ・スケシ、カスナナン王家のグスティ・ブウォノ、それにわざわざジョクジャから足を運んでくれたヌルサットミカ夫妻、チュ・ストヨ夫妻その他である。さらにはいまは亡きマンクヌゴロ八世、パ.セノ、イブ・ヒルミア、ジョクジャのヤンさん、イブ・ジュジュ、ジャカルタのジョノさんらも闇のかたすみで観てくれていたような気がする。
 まがりなりにもワヤンと銘打った上演において、これほどすばらしい観客に恵まれると言うことがまたとあろうか。このお客たちは昨年も影絵詩劇に来られた。さほどでもないと思われたら今年また足を運ばれることはあるはずもない。このお客たちは終演後もニコニコと労をねぎらいに来られ、マスコミの数人もまじえ、しばらく賑やかな時がすぎた。
 ソロポス紙はまたいい論評をのせてくれた。テレビにも出た、他の新聞にも出た、とひとは言ってくれたが、私たち数人は翌日から郊外また東部ジャワのワヤン遺跡群にでかけ、すべて見落としてしまった。

◎ソロは相変わらず静穏の町だった。ジョクジャは去年の地震を思えば、信じられないくらい活気に溢れていた。南方のバントゥル地方も表向きはすっかり復興している。
 ジョクジャから西南方遠くないところにクカヨン・ワヤン博物館というのがあって、忘れていたのではないが、25年ぶりくらいに訪問した。面白かった。やや古風のワヤン・クリやワヤン・ゴレのさまざまが雅味を帯びて、地震にガラスを割られながらも、端然と佇んでいた。

Skenario, Sutradara,
Dalang ; R. Matsumoto
asisten ; Miki Nakamura
N. Matsumoto
Narator Bhs Jepang ; Yuhmi Sagara
Akio Uchiyama
Bhs Indonesia ; Imelda C.Miyashita
Alih Bahasa    ;HM. Mustam
Penari ; Cawati
Barong ; HM. Mustam
Shigeru Shiono
Junko Katoh
Pembuat ayang ; Bambang Suwarno
Kyoko Kakehashi
Tadashi Nakatuji
Sukasman
Dll
Musik ; Y. Morishige
Pesinden ; Hiromi Kano
Penabu ; Joko Daryanto
Giarto
aluyo
Terompet ; Takahiro Saijoh
Yuzu Kumagai
Biwa ; Akiko Kubota
Dll
Tata Suara ;Takashi Owada
Tata Cahaya ; Panitia
Stage Manager ; Hiromi Kano

「まぼろしの城をめざす」見物の実況報告(チュ・ストヨ)
ダラン・ジュパンが魅惑を撒布するとき……
(ルトフィヤ/ソロポス紙、2007/07/27)
ソロ・プランウダナンの一夜           (宮代厚子)
初ジャワ旅行(吉上智子)
シンデン・ジュパンと日本ワヤン協会のソロ、マンクヌガラン公演(狩野裕美)
ラ・ママ初出演と、マンクヌゴロ王宮公演(中村深樹)






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