ダラン・ジュパン、
 ガドガド風味のワヤンを上演する

(ジョグロスマル紙=ソロ市で売り出し中の日刊紙=2011・07・06、リナ・スティアニングルム) 

                                      



 日本ラベルを貼っているとはいえ、リョウ・マツモトによって提供されたワヤンの上演はガドガド料理の風味を持っている。さまざまな文化を、かれは秩序立ててひとつにした。フランスの一童話から採られた物語のアイディアに始まり、伴奏音楽としてジャワ特有の楽器グンデルやボナンの使用にいたるまで。
 マツモトによって供された文化の融合はまた上演の合間に登場した中東特有のベリーダンス風の舞踊からも見られる。「この上演には多く現代楽器が使われている。追加的にジャワの触感を与えるグンデルとボナン、一方シンデン(女性歌手)とその歌は日本からのものだ」と上演実行委員の一人ロイ・ハリリンタルは、七月四日(月曜)夜、そう説明した。
 マンクヌガラン王宮のプランウダナンに会場を設営し、サクラの国よりのダランは「ラクササ・ダン・ガディス・チャンティク Raksasa dan Gadis Cantik(=野獣、恋のバラード)」の演目を上演した。その一時間半ばかりの上演は、ある人物の価値を容貌だけに頼ろうとしない一人の娘の、心の誠実さについて語っている。
 この『野獣、恋のバラード』は「ある人物に対する見方についての一人の娘の誠実さを描いているのです。多くのひとは、その容貌からある人物を価値づけようとしたがりますが、その娘は品性や心情からその人物を価値づける。この価値付けもしくはこのメッセージこそ観客の心に届けたいものだ」とマツモトはいう。ダランは同時にこの演目の原稿作者は私だと、ジョグロスマル紙の記者に語った。
 この演目のもともとは、一八世紀のフランスで書かれた子ども向けの物語である。その後多くの芸術家により現代化されたが、マツモトによってもまた、この物語は大人向けに新装され、採りあげられて、ワヤン・プルワの演目としての上演となった。
 「私は文化なるものは普遍的なものであるとして、わざとこの物語を選んだのです。文化、その一つであるワヤンを通じ、私はある国と他の国がもつ相違を、かたくなさを消していきたいのです。たがいにギャップのないように。この演目の中では、フランスの物語を担ぎだし、さまざまな国の影絵人形、またさまざまな国の音楽に登場願い、すべての国境線をなくそうとしました。日本語、インドネシア語、さらにはどんな国の言葉も使用していきたいのです」とかれは語った。

                              (R. M)

ダラン・ジュパン、ガドガド風味のワヤンを上演する
(ジョグロスマル紙=ソロ市で売り出し中の日刊紙=2011・07・06、リナ・スティアニングルム)
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