東京家政大学博物館・特別企画展
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去る10月18日から11月15日まで、実質26日間の会期中イベント(列品解説ギャラリートーク、ワヤン・クリ実演とガムラン演奏)の組まれた日を選んで4回たずねることとなりました。 * ワヤン・クリにおける鼻のつきでた横顔はデザインの極致で、丸まったまげや衣装と併せて見飽きないものですが、この形がイスラムの宗教的な制約から由来したものという先入観はこの会場でゆらぎました。ワヤン・クリよりは500年も古いというワヤン・ベベルの絵巻きに、先行する狐顔がえがかれていたのです。このスタイルは、丸物のワヤン・トペンやワヤン・ゴレにもあり、系統樹をつなぐ鍵になっています。あらためて生じた問題です。地域差、時代差の細部をみよという展示の真ん中で、全体を見ていたのです。 * 40年に及ぶマツモト・コレクションはどのように形成されたのでしょうか。コレクターご本人によれば収集癖はなく「縁あって向こうからやってきてくれた」といううらやましい話で、それこそ物集めのお手本です。かく分類に耐え、上演にも対応できる人形群の集積は、学術と芸術を車の両輪としてその上に乗ったご人徳であろうと思います。それだけに、今は現地にもない貴重品が空路、正に海のシルクロードを渡ってきた東の正倉といえる八幡山に文化財庫を出現させた、と評価したいと思います。 * 人形大事は人形劇人誰しも同じですが、先生の情熱は人一倍、薄い皮の人形が一と月立ったままではよれはしないか、夜は退屈してガラスケースから抜け出るのじゃないかなど、正に親心そのもの。 * 博物館のしかけたクイズに乗って、アルジュノ探しをしました。クリ、ゴレ、オランの3種の中からみつけること、それによって彼がパンダワ五王子の三男で、ワヤン随一の美丈夫であることをしっかり覚えさせられる。そうだインドネシアの切手の図柄に取り上げられたわけがはたと解ったりして、小学生のようにうれしかった。 * 夕焼け空の四つ辻でブトロ・コロに食われないよう、一つを知ってさらに広がる疑問の手みやげをふところに、ワヤンの森をあとにしました。 |
ゴロゴロ通信54 |
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「時間持ち」の楽しみ 中辻正 |
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