キ・アノム・スロト(1949~) |
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1985年春まだ浅いころ、キ・アノム・スロトは数人のガムラン奏者とともに来日した。本格的なワヤンの来日公演ははじめてのことで、千人を越える収容人員の武蔵野文化会館は超満員だった。超満員といえば、ジャワの徹夜のワヤンで軽く五千人の客を集められるダランは幾人もいないが、キ・アノム・スロトはその一人である。 堂々たる体躯、圧倒的な声量で、1970年代以降、まだ若冠二十歳のころからすでに一流のダランとして名声は高く、今日なお第一線で精力的な働きを見せている。人をそらさぬやわらかい物腰、美しく天地にしみとおる語りとスルク(ダランの歌)、抜群の音楽性、その風格あふれるさまは、キ・ナルトサブド亡きあとの第一人者といって差し支えない。彼もまたキ・ナルトサブドに深く私淑していたのである。(松本 亮) |
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