小報告=松本亮



 

 8月1日、東京国立博物館平成館でのワヤン公演を終えて、3日朝出発、バリ経由、暗くなって、ジョクジャに入った。上演の9日までは、当日入場者に配布する3ページほどの「ジョコ・タルブ」プログラムのインドネシア語版をムスタムさんに手伝ってもらって作りあげること、不足している登場人形を二、三のワヤン工場を回って調達すること、実行委員会から指定されたホテルに一寸住みなれること、本番にむけて少し練習することなどに日をすごす。
 7日、日本からのスタッフ幾人か、8日、ソロから狩野裕美さんら4人の援軍が到着する。
 8日、ヌサンタラ・ワヤン週間の初日、キ・スカスマンのワヤン・ウクル見学。世を憂う理念が突出してワヤンも踊りも不消化だと思う。当初の彼の斬新な創作力を呼びもどしてほしい。
 9日、午後2時から準備をはじめる。心配していた五分間の踊りのための照明器具が整わず、予定の踊り手も来れなくなる。まずは慌てないこと、目をつぶることだ。踊り手は急きょ代役にお願いする。踊り手がいなくとも何とかするつもりだったのだが。
 結果は、大成功だったようだ。まずは別紙11日のコンパス紙の記事を読んでみてください。ここにはヨコ25センチ、タテ12センチの上演カラー写真もそえられている。「ジョコ・タルブ」ということでか、観客にはめずらしく女性や子供たちも多く、ジャワ人のみる日本人上演の「ジョコ・タルブ」はどんな感触だったか、しっかりその胸のうちを聞きたいものと思う。
 その他私のみたワヤン・ベベル、ワヤン・トゥングル、ワヤン・グテクは伝統的なものだ。
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 ソロへ回って、山中の大きなワヤン工場の一つが倒産しているのを知った。
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 いささか疲れ果て、ぐうたらしていたのだが突如小耳にはさみ、15日夜、ジョクジャから車で6時間というプルウォケルトまで仲間と、キ・ウントゥスの徹夜ワヤンを見に走った。プシンデンの一人に狩野裕美。独立記念日とエイズ撲滅のための市主催のワヤンだった。やはり彼には凄みがあった。艶とはげしさ、そして何よりも現代が息づいていた。キ・ウントゥスはいまの私にとってワヤンがあると聞けば、さっと見に行きたい第一のダランだ。かつてはキ・マンタプ・スダルソノ、その前はキ・ナルトサブドだった。
   


小報告=松本亮
ヌサンタラ・ワヤン週間2008
日本ワヤン協会「ジョコ・タルブ」を上演する

(コンパス紙=インドネシア最大の日刊紙 2008/8/11)






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