180.Yudanegara-Gendreh Kemasan
atau Kalabendana Lena
ユドヌゴロ(国家秩序)、グンドゥル・クマサン
あるいは コロブンドノの死

 アスティノの支配者スユドノは領土拡大を意図してウィロト国へ攻め入り、プラブ・ボロデウォとプラブ・クレスノに協力を求めた。プラブ・ボロデウォはスユドノの求めに応じた。一方アディパティ・カルノとコラワがドロワティ国へ到来したが、プラブ・クレスノは留守で、ソムボとスティヤキに会う事ができただけだった。
 ふたりの武将がコラワの誘いを断ったので、ふたりは武装解除させられ、囚われの身となった。その頃、シティ・スンダリと共にドロワティの王宮にいたオンコウィジョヨは、すぐさま王宮から去る事を決めた。しかし妻は伴わず、彼はデウィ・ウタリに結婚を申し込むためにウィロト国へ赴いた。というのも、その娘こそ大いなる王の母となれる人であったからである。道中彼はプラブ・クレスノの化身したブラホロ(巨大なラクササ)と出会い、コラワを追い払う助けを受けた。
 ウィロトに到着したオンコウィジョヨを迎えたのは、庭園で働くグンドゥル・クマサン(kemasan=金細工師)、即ち身を隠しているアルジュノであった。庭園に到着し、彼はウタリと会い、ウワングナンの館へ導かれた。オンコウィジョヨの振る舞いは官女たちの疑いを招き、王への報告がなされ、オンコウィジョヨ殺害の命令が下された。しかし、身を隠していた武将たちのひとりはアルジュノであり、オンコウィジョヨの到来はドロワティの混乱によるものだと明かされ、王(マツウォパティ)は寛大な心でアビマニュを許し、パンゲラン・アディパティ(領主の一族)として取り上げ、プラブ・アノム・ウィロボドの名を与えた。
 ドロワティの王宮にあるシティ・スンダリはおおいに不安と恐れを感じ、夫の安全を願って、プリンゴダニに赴き、ガトゥコチョにアビマニュ捜索を依頼した。願いは受け入れられ、ガトゥコチョは叔父コロブンドノに協力を求めた。ウィロトへ行き、密かにアビマニュの様子を探って欲しい、と。正直者の武将コロブンドノはウィロトに着き、デウィ・ウタリと一緒にいるアビマニュに会うと、プリンゴダニでオンコウィジョヨの妻、デウィ・シティ・スンダリが待っていると伝えた。ラクササの言葉を聞いたアビマニュは気を悪くして、怒り、彼を痛めつけてウィロトから追い払ってしまった。驚いたデウィ・ウタリは夫に尋ねた。既に結婚していたのですか?と。アビマニュは隠し通そうとして、あのラクササは気が狂っているのだ、と答えた。彼はきっぱりと言った。もし嘘をついていたなら、後のバラタユダにおいて、その身体は数えきれないほどの矢で打ち抜かれよう、と。
 コロブンドノは再びプリンゴダニに戻り、ウィロトで起こった出来事を報告した。シティ・スンダリはコロブンドノの話に要領を得ず、もっとはっきり説明するようにと迫った。娘(シティ・スンダリ)の希望とガトゥコチョの希望が相反した。というのも彼(ガトゥコチョ)はこの問題をシティ・スンダリが知る事になれば、彼女を失意に落とすことが明白であると考え、恐れたからである。そこでガトゥコチョはコロブンドノに事の真実をあやふやにするようにと目配せした。
 しかしコロブンドノは正直者のクサトリアであったので、ウィロトでのオンコウィジョヨの状況をありのままに説明した。これにガトゥコチョは腹を立て、ガトゥコチョの手によりコロブンドノは口のきけない者となった。(殺された。)その遺体が天に昇り、声が聞こえた。いつの日かバラタユダの戦いにおいてスンジョト・クント(カルノの持つ超能力の矢)を介してこの報復が果たされるだろう、と。
 デウィ・シティ・スンダリはおおいに驚愕し、いつの日か訪れるであろう事態を恐れた。そこでガトゥコチョと共にウィロトへ行くことを願い出た。ウィロトに着いて、彼らはオンコウィジョヨとウタリに会った。二人の到来をみたウタリはすぐさま王宮に逃げ込み、災いが訪れるであろうと推し量った。ガトゥコチョがシティ・スンダリを連れて来たのを見てオンコウィジョヨは怒り、ガトゥコチョをクリスで突き刺し、争いとなった。
 争いを見て困ったスマルは泣き、アルジュノに事の次第を知らせた。アルジュノは闘う二人のクサトリアのもとに駆けつけて来て、武将としての心得と職務を諭した。
 このラコンはラコン・チャランガンに含まれ、ひじょうにポピュラーで、ダランたちによってしばしば上演される。

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