159.Palguna-Palgunadi
パルグナ・パルグナディ

 ラコン・パクムに含まれ、ポピュラーな演目である。プラブ・パルグナまたの名をバムバン・エコロヨは、ブガワン・ドゥルノの弟子となることを切望していた。ドゥルノは弟子とすることを拒み、彼は一人で修行した。彼の弓矢の武芸はアルジュノを凌駕し、アルジュノはドゥルノに対して怒った。
 ある日、弓の稽古をしていたエコロヨに、一匹の犬が吠えかかった。煩わしく思い、彼は七本の矢を取り、一度に弓に番えると、狙いを定めた。七本の矢が飛び、犬の鼻面に突き刺さった。
 間もなく犬の持ち主がやって来た。それはアルジュノであった。そのときアルジュノは犬を使って狩りをしていたのである。鼻面に七本の矢を同時に射られて死んだ彼の犬を見て、彼は怒った。しかし、怒りとは別にアルジュノは(エコロヨの)弓の技量に競争心を感じてもいた。弓術の第一人者として自認していたアルジュノには、彼の犬を殺した者のように七本の矢を同時に射ることは出来なかった。おおいに心乱れてアルジノは(弓を射た)人を捜した。その人物を見つけると、彼は立派な姿で、アルジュノは、この立派な若者こそがニソド国のエコロヨだと知った。エコロヨは、彼の弓術が、彼が師と仰ぐブガワン・ドゥルノから得たものであると認めた。
 アルジュノは、ブガワン・ドゥルノがアルジュノだけに教えを授けると約束したことに違反したと訴えた。アrジュノにエコロヨが弟子ではないことを証すため、ドゥルノはこのパラングルンの王を欺くことにした。エコロヨは師への献身の証しとして自らの親指を切るよう命じられた。エコロヨの右手親指には生まれて以来、神から与えられたムスティコ・アムパルの指輪がはめられていた。ルシ・ドゥルノへの献身ゆえ、エコロヨは師の希望に応えた。彼の右手親指は切り落とされ、ドゥルノに渡された。それ以来エコロヨはもはや弓の技術を失った。
 この機会にアルジュノはプラブ・パルグナディの妻、デウィ・アングラニに会いに行った。その美しさを見て、アルジュノは恋に落ちた。しかし、その美しい女性はアルジュノの誘いを拒んだ。アルジュノはデウィ・アングラニを追いかけ、それをブガワン・ドゥルノの息子アスウォトモに見られた。アスウォトモはアルジュノを諌めた。しかし彼は聞き入れず、戦いとなった。
 その間にアングラニは逃げ出し、パラングルン国へ戻り、アルジュノの自分に対する振る舞いを訴えた。しかし、パルグナディは信じなかった。優れた武将であるアルジュノが、妻の言うような卑しい振る舞いをするはずがないと考えたのである。パルグナディは妻が、わざとアルジュノと敵対するように仕向け、彼が死んだ後アングラニがアルジュノの妻となるつもりなのだと考えた。パルグナディのアングラニに対する誤解は、アスウォトモが到来し、パルグナディに彼の妻の訴えが真実である事を話したので、氷解した。
 問題は明らかになり、パルグナディはかくてアルジュノに戦いを挑んだ。挑戦は応じられた。アルジュノはいささか過ちを感じてはいたが、パルグナディ、またの名エコロヨは一騎打ちで斃れ、デウィ・アングラニは夫の死を聞いて自殺した。
 斃れる直前、パルグナディはドゥルノを呪った。この偉大なる師がバラタユダにおいて斃れるようにと。
 このラコンはポピュラーで、とくにワヤン・オランの舞台でしばしば上演される。

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