141.Sawitri
サウィトリ

 このラコン・パクムは、あまり知られていないので上演が稀である。マンドゥロプロ国の物語。その国の王女デウィ・サウィトリは、ブガワン・ジュミアトゥセノの息子バムバン・スティアワンと結婚した。しかし、マンドゥロプロ国の占い師たちはスティアワンの寿命があと三日しかないと告げた。
 結婚の後スティアワンはその妻を連れ、アルゴサリの苦行所へ帰っていった。
 道中、神聖なるウィロマルタニの森の中で、新郎は妻に愛を憶えた。彼らはこの森において愛の行為を行ってはならないというタブーがあることを忘れ去るに至った。
 その結果、死神バトロ・ヨモディパティが到来し、バムバン・スティアワンの魂を引き抜こうとした。デウィ・サウィトリはこれに抗い、もしスティアワンの魂が引き抜かれるなら、彼女もまた魂を引き抜かれねばならない、といった。なぜなら、彼らの森の中での行為はスティアワンひとりの責任ではないから、と。
 バトロ・ヨモディパティは答えた。彼の任務はスティアワンの魂を抜く事だけであり、サウィトリではない、と。しかしサウィトリはスティアワンの連れて行かれるところがどこであろうと、つねに共にあることを願った。
 ヨモディパティは言った。サウィトリの願いは何だろうと叶えてやろう、ただし、スティアワンと共に天界に召されることは許されぬ、と。サウィトリは承知した。
 サウィトリは四十人の子供を産む事ができるように、と願った。ヨモディパティは同意した。
 ヨモディパティがスティアワンを連れて行こうとしたとき、サウィトリは尋ねた。もしステアワンが連れて行かれたなら、彼女ひとりでどうやって四十人の子供を作ればいいのか?と バトロ・ヨモディパティはその論に負けを認めた。彼はついにスティアワンが生き続ける事を許したのである。
 彼らは苦行所に至った後、コロンクンチョノ国王プラブ・コロプラチモがデウィ・サウィトリを求めて到来した。戦いとなり、スティアワンは敵を敗った。
 サウィトリとスティアワンの夫婦は長く生き、その子供は四十人になった。
 このラコンはあまり有名ではない。
 (訳者注: インド版マハーバーラタにおけるこの物語は、 『サーヴィトリー物語』(第3巻第277章以下)として著名である。 『サーヴィトリー物語』は妻の愛情を主題とするもので、サーヴィトリーが夫として選んだサティヤヴァットは結婚後1年で死ぬ運命だった。サーヴィトリーは苦行を行って、それを避けようとする。運命の日、二人は連れ立って森に入るが、夫は頭痛がするといって倒れ、死神ヤマがあらわれる。サーヴィトリーは苦行の力によってヤマに次々と願いを請い、ついに夫を死から救い、百人の子を授かる。その深い愛は、長く後世までインド婦人の称賛の的とされた。現在もインドでは毎年祭礼を行ってこの詩を唱え、幸福な結婚を祈願する。)

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