ジョクジャ、ソロ駆けめぐり報告          松本亮



 先月20日、ジョクジャ国際人形フェスティバル2006の実行委員長からEメールが入り、大地震の沈鬱から立ち上がるため、とくに被災を受けたバントゥル地方のダランたち救済募金のため、この大会は予定通り開催される、と。これを受け最終的な上演準備その他のため、6月26日から3泊でジョクジャ、ソロを回ってきました。その簡単な報告です。ソロは無事。

1 震災(5月27日)から一ヶ月も経ち、ジョクジャの街はかつての報道、人の噂などからは想像できないほど回復しています。マリオボロ通りなどは殆どすべて開店して、活気にみち、見た目は以前とまず変わりがありません。車やバイクの往来も激しく、ホテルも一部をのぞき開業しています。
 ただ街のあちこちの道路際に、くずれた煉瓦を積み上げているのがみられ、そのあたりでは家が崩れ、また塀が倒れているのです。きちんと建っているように見えて建て替えを迫られているのもあるようで、そんなところに、人間の運・不運がかいまみえて痛ましい。
2 ジョクジャ市街の南部から、その南方の震源地バントゥル地方、そしてそこから北東に延びる線上、プランバナン寺院方向に被害が集中したようだ。
 私はジョクジャ切っての名ダラン、キ・ティンブル家へ向かった。そこはバントゥルの中心部だ。かつて日本からの団体がそこで徹夜のワヤンを二度みせていただいた。途中ほたるの光りが夜闇の田圃に波のように揺れていたのが懐かしい。同家は7棟ほど建つ大きな邸だったが、すべて煉瓦造りで、崩壊し、一族は天幕暮らしだという。キ・ティンブルはじめ家族全員無事だった。しかも所蔵のワヤンすべて無事。このバントゥル地方でとくに著名なダランは9人いて、この方たちも家は崩れたが、家族ともども全員無事だという。
3 ジョクジャからの40分ほどの幹線道路には微塵の地割れもなかった。そういえばジョクジャの街なかの道にも、ソロ・ジョクジャ間の幹線道路にもまったく被害はみえなかった。
4 プランバナン寺院崩壊の報はこのようだ。尖塔のすべてには異常がなくて、どうやらより大切な塔の内部やあの輝かしいラーマーヤナの浮彫群が傷ついたらしい。現在立ち入り禁止である。可能な限り無事であってほしいのですが。
5 去る6月10日、渋谷ラママでの徹夜公演で、中部ジャワ地震救援募金に応じられた方々の浄財、金5万円をジョクジャできめ細かいさまざまな援助活動を続けていられる廣田緑さんにお会いし、託しました。ありがとうございました。


◎ジョクジャ国際人形劇チャリティ大会2006(名称変更) 
7月23日、開会式上演=「(影絵詩劇)水のおんな」=日本ワヤン協会
 会場=モニュメン・サトゥ・マルット(マリオボロ通り、中央郵便局手前)○要注意=会場変更(王宮内一部破損のため予定の会場が使えなくなりました)
 スリ・スルタン・ハメンク・ブウォノ十世の開会宣言のあと上演=上演予定=午後八時〜九時半。入場無料(この会場では、少数一部の人に招待状を出すそうですが、一般の人も自由に入場できると聞きました)
 (相変わらず他の上演種目などはまだ決まっていません。今回は大地震のあとという特殊事情から、ワヤン本来の持つ魔除け的性格をもつようで、名称も上記のように変更。小耳に挟んだところでは、バントゥルの王家の墓地のある地域や、なお強い噴煙のムラピ山をのぞむカリウランの地などで、上演があるかもしれぬという。だがまだなにも決ってはいません)。

◎マンクヌゴロ王宮(ソロ)での上演
7月26日、演目=「(影絵詩劇)水のおんな」=日本ワヤン協会 会場=マンクヌゴロ王宮内 prang wedanan ( プラン・ウダナン)
 開演予定=午後8時〜9時半。招待券不要。入場無料。

◎マンクヌゴロ王宮宮廷舞踊
7月27日、演目=ブドヨ、スリムピ、仮面舞踊(王宮の踊り手たちによる)
 会場=マンクヌゴロ王宮内 pendopo agung (プンドポ・アグン)
 午後6時から王宮奥で晩餐会、そのあと午後8時から9時半まで、プンドポで宮廷舞踊。有料(60米ドル)です。日本ワヤン協会までお申し込み下さい。





日本ワヤン協会


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tel&fax 03-3303-6063
E-mai: banuwati@kt.rim.or.jp


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