6.Laire Batara Kala

ブトロ・コロの誕生

 あるときカヤンガンは、サン・ヒヤン・ヌラダの孫、バトロ・カネコプトロの影響で騒乱していた。というのも彼がチュプ・レトナ・ドゥミロを持って苦行していたからである。バトロ・グルはすぐさまサン・ヒヤン・カネコプトロの苦行を中止させるよう神々に命じた。しかし、神々はその任務を達成できなかった。
 遂にやむなくバトロ・グルが手を下した。両者の一騎打ちとなった時、サン・ヒヤン・ヌラダが来て彼らを引き分けた。同意を得て、ブトロ・グルはカネコプトロを兄と認め、カネコプトロの方はバトロ・グルの仕事を手助けしなければならないことになった。その孫のために仕事を成功させたサン・ヒヤン・ヌラダはかくてカネコプトロと一つとなった。それから、カネコプトロはバトロ・ナロドの名で知られるようになった。
 同意した後もバトロ・グルはまだ、カネコプトロの持つチュプ・レトナ・ドゥミロを欲しがっていた。そのチュプは彼に欲しがられたが、カネコプトロは彼に与えなかった。それどころかチュプは遙か彼方に投げ捨てられてしまった。神々は
サン・ヒヤン・オントボゴの支配する七層の地界に至るまでそのチュプを求めた。かくて神々とサン・ヒヤン・オントボゴの間に争いが生じた。神々は敗れ、天界に戻った。
 神々がバトロ・グルに彼らの敗北を報告した時、サン・ヒヤン・オントボゴが到来し、チュプ・レトナ・ドゥミロを譲り渡した。とはいえ、チュプはバトロ・グルの手に渡る前に、神々がそれを奪い合ったので、チュプは落ちて砕け、輝く一筋の光に変化した。光はさらに三人の美しいビダダリ(天女)に姿を変えた。その名をデウィ・ウィドワティまたの名をティスノワティ、デウィ・スリそして、デウィ・ロカティまたの名をデウィ・ルミングラトという。彼女たちは三つの身体を持つとはいえ、その魂はひとつであり、かくてハプサリ・トゥリワティと称される。
 ある時、バトロ・グルは后のデウィ・ウモと二人で世の状況を調べに出かけた。彼らはルムブ・アンディニ(バトロ・グルの乗用の牛)に乗っていた。
 夕暮れ時となり、バトロ・グルは不意に、妻のふくらはぎを見て欲情を覚えた。バトロ・グルはルムブ・アンディニの背で妻に愛の行為を求めた。デウィ・ウモは拒否し、そのときバトロ・グルの欲情は頂点に至った。かくて神の精子が大海の上に落ちたのである。
 この事件で彼らは烈しく喧嘩した。バトロ・グルはデウィ・ウモを呪い、ラスクシにした。彼女の名はドゥルゴとなった。一方デウィ・ウモの呪いでその夫は牙持つものとなった。
 大海に落ちたバトロ・グルの精子は危険で大食の者となり、恐ろしい姿となった。その者はすぐにカヤンガンにやって来て、バトロ・グルに彼の子であることを認めさせた。その指導で満たされ、その者はバトロ・コロの名を与えられた。バトロ・コロの恐ろしさを軽減するために、バトロ・グルは息子の牙を切り落とし、かくて二つの牙で強力な武器を作った。コロディテとコロノドである。
 このラコンが上演されることは希である。というのも巷間ではこのラコンは不吉と信じられているからである。

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