1.Jgad Gumelar または Manikmaya

世界の創世

 このラコンでは、ワヤンにおける世界の創世が語られる。ヒヤン・マハ・クアサ神は爆発音で世界を創世した。そののち丸い光が現れ、回転していた。卵の形に成った光はサン・ヒヤン・マハ・クアサに捉えられ三つの形に作られた。
 光の卵の殻の部分は大地と海に成った。中身の部分はチャヤあるいはトゥジョとなり、核の部分はマニクとモヨと成った。四つの者はかくて再び祈りによって、美しい少年の人の姿となった。
 彼らはバトロ・マニク、バトロ・ヌロド、バトロ・オントゴ、そしてバトロ・イスモヨの名を与えられ、ラコンを成す役割を与えられた。バトロ・マニクはトリロコ(三界)に権力を持つことを任命され、バトロ・ヌロドはバトロ・マニクを補佐することを任命された。バトロ・イスモヨは高貴なる性の人間の保護者として、一方バトロ・オントゴは邪悪な人間の教師とならねばならぬとされた。
 四人に創造主たるサン・ヒヤン・マハ・クアサは承認を与え、それぞれの任地に遣わした。そののちバトロ・マニクはバトロ・グルの称号で知られ、バトロ・ヌロドはバトロ・ナロドに、バトロ・オントゴはトゴグあるいはトゥジョマントリ、バトロ・イスモヨはスマル通称バドロノヨとなった。
 バトロ・グルはその後、パラス王国のバトロ・ウモランの娘、デウィ・ウモと結婚した。彼らはかくて神々をもうけた。
 あるときバトロ・グルはジャワ島がまだ斜めになっていると語った。その島の西に高くて巨大なグヌン・ジャムルディポ山があった。バランスがとれるようにバトロ・グルはすべての子どもたちにその山を切り、島の東部に据えて整えるようにと命じた。神々がグヌン・ジャムルディポに攻め入った時、やはり彼らはサン・ヒヤン・マハ・クアサの創造物ではない神、バトロ・チャラクタの住まうカヤンガン(天界)を破壊した。バトロ・チャラクタは全ての邪悪な創造物達に命じた。神々とバトロ・チャラクタとその部下たちの間に争いが生じた。
 バトロ・チャラクタは敗れ、東部のグヌン・ジャムルディポの斜面に逃げた。その場所で彼は水は清らかだが有毒の池を作った。神々はその場所に至ってその水を飲み、彼らの全てが斃れた。
 バトロ・グルはその岸辺に到着し、神々が斃れていることに驚愕した。一方で乾きを覚えたため、彼はその毒の池の水を一口飲んだ。とはいえ、喉に至ったとたん、彼はそれが毒の水だと気付いた。すぐに水は吐き出された。しかし、その毒が粘りを持っていたので、バトロ・グルの首は青くなった。これが彼がバトロ・ニロコント、『青い首を持つ者』と呼ばれる所以である。
 命の水で神々は再び蘇生した。
 そのときラクササ・ガンダルウォ(羅刹)のルムブチュルンが突然来襲し命の水を奪い、飲んでしまった。バトロ・チャンドラが彼を見つけ、バトロ・ウィスヌに報告した。スンジョト・チャクラ(円盤状の武器)でバトロ・ウィスヌはルムブチュルンの首を切断した。首から下の体の部分は死に、しかし、ルムブチュルンの頭はまだ生きていた。ラクササ・ガンダルウォの頭はバトロ・チャンドラを怨んだ。
 かくてサン・ヒヤン・クアサの創造した世界を維持するため、バトロ・グルもまた幾多の神々をもうけたのである。

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